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先週の説教より

「ナザレの人と呼ばれる」 マタイによる福音書2章19-23節(12/27説教)

 主イエスの誕生において、マリアの夫ヨセフの果たした役割は大変大きなものがありました。マリアが聖霊によって身ごもったことを夫ヨセフが心から受け入れることがなければ、マリアが無事に幼子イエスを産むことはできなかったからです。

 幼子イエスが誕生した後の父親としてのヨセフの働きにも、大きいものがありました。ヨセフが家長として家族を守ることがなければ、幼子イエスの健やかな成長はありませんでしたから。具体的には、当時イスラエル全域を支配していたヘロデ王の暴虐から幼子イエスを守ることでした。ヘロデは東方から来た占星術の学者たちによって「ユダヤ人の王として」(2節)幼子が誕生したことを告げられた時、不安を感じ、ベツレヘム周辺の2歳以下の男児を一人残らず殺すという暴挙を行いました(16節~)。それから幼子イエスを守ることがヨセフに課せられた使命でした。ヨセフは夢で天使を通してエジプトに逃れることを告げられ、直ちにそれを実行したのです。

 ヘロデが死んだ時、再びヨセフに御言葉が語られ、ヨセフは幼子イエスとマリアを連れてイスラエルの地に戻りましたが、ヘロデの息子で父ヘロデにまさる暴君であるアルケラオがユダヤを支配していることを知り、そこを避け、自分たちの郷里であるガリラヤのナザレに引きこもり、そこで暮らすことにしたのです。こうして幼子イエスのナザレでの生活が始まったのです。

 幼子イエスはナザレで父ヨセフと母マリアのもとで本当に平穏で幸いな日々を過ごすことができました。それが将来のメシアとしての公生涯のための豊かな備えの時となったのです。このことを考える時、家長としてのヨセフの存在が、幼子イエスの生育と将来のメシアとしての公生涯の備えのためにいかに大きな意味を持っていたかを知ることができるのです。

牧師 柏木英雄