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先週の説教より

「エリヤの霊と力で主に先立ち」ルカによる福音書1章1-25節(11/27説教)

 ルカ福音書はクリスマスの出来事をバプテスマのヨハネの誕生から語り始めています。それは、旧約聖書マラキ書に「見よ、わたしは大いなる恐るべき主の日が来る前に、預言者エリヤをあなたたちに遣わす。彼は父の心を子に、子の心を父に向けさせる」(3章23~24節)とあるように、バプテスマのヨハネの誕生がメシアに先立って道備えをする預言者エリヤの出現を意味すると考えたからです。そしてこのヨハネの誕生をもってクリスマスの出来事は始まったと、ルカ福音書の著者ルカは理解したのです。

 事実、このヨハネの誕生において新しいことが始まったのです。旧約聖書の信仰の中で旧約聖書の信仰を越える新しい信仰が始まったのです。

 祭司ザカリアが聖所の中で香を炊いている時、天使が現れ、「恐れることはない。ザカリヤ、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。その子は~」(13節以下)と告げたのです。驚きのあまりザカリアが信じられないでいると、天使は「あなたは口が利けなくなり、この事の起こる日まで話すことができなくなる。~わたしの言葉を信じなかったからである」と言って、ザカリアは口が利けなくなってしまったのです。

 ザカリアが口が利けなくなったということは、ザカリアが祭司の務めを全うすることができなくなったことを意味しました。具体的には、ザカリアは聖所の外で待っている民衆に祭司の最後の務めである祝祷を行うことができなかったのです(22節)。この事実の中に、今や、祭司の務めを必要としない、否、そもそも神殿礼拝を必要としない、まったく新しい信仰の時代の到来が予告されているのです。それ故に、クリスマスの出来事は既にヨハネの誕生から始まっているとルカ福音書は言わんとしているのです。

牧師 柏木英雄