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先週の説教より

「わたしの窮乏を救おうとして」 フィリピの信徒への手紙4章15-20節(8/7説教)

 パウロとフィリピ教会の人々との間で一時期、信頼関係が揺らぐことがありました。それは、3章2節で「あの犬どもに注意しなさい」とパウロが厳しく批判しているユダヤ主義的キリスト教徒の存在が影響していると考えられます。しかし、その困難を乗り越えた時、パウロとフィリピ教会の人々とはいっそう深い信頼関係で結ばれることができました。「それにしても、あなたがたは、よくわたしと苦しみを共にしてくれました」(14節)という言葉の中に、その時のパウロの安堵の気持ちが表わされています。

 以来、パウロとフィリピ教会の人々は深い信頼関係によって結ばれました。「わたしが福音の宣教の初めにマケドニア州を出たとき、もののやり取りでわたしの働きに参加した教会はあなたがたのほかに一つもありませんでした」「テサロニケにいたときにも、あなたがたはわたしの窮乏を救おうとして、何度も物を送ってくれました」「そちらからの贈り物をエパフロディトから受け取って満ち足りています」(15~18節)というパウロの言葉はフィリピ教会の人々とのパウロの深い信頼関係を表しています。

 パウロとフィリピ教会の人々との信頼関係の根底にあるものは、言うまでもなく主キリストを信じる信仰です。何より十字架と復活の主が、今ここに、聖霊をもってご臨在くださるインマヌエルの主を信じる信仰です。この信仰こそ、すべての人間的な利害打算を越えた真実な信頼関係を生み出すのです。共に神の御前に自らの罪を言い表し、十字架と復活の主の恵みに聖霊によって与り、肉の思い清められることによって、信じる者の間に真実の信頼関係が生まれるのです。すべての信仰者はこの信頼関係の中に生きるべく招かれているのです。

牧師 柏木英雄