先週の説教より
「一つの霊によって立つ」フィリピの信徒への手紙1章27~30節(5/1説教)
27節以下でパウロはこう言っています。「あなたがたは一つの霊によってしっかり立ち、心を合わせて福音の信仰のために共に戦っており、どんなことがあっても、反対者たちに脅されてたじろぐことはない」と。「反対者たち」とは、律法、特に割礼を行わなければ、キリストを信じる信仰は完成しないと主張したユダヤ主義的キリスト教徒のことです。彼らは、自分たちの信仰の優越を誇り、この世の生活に囚われ思い煩いがちなフィリピ教会の人たち(異邦人キリスト者たち)の信仰を批判したのです。そのフィリピ教会の人々を励ますためにパウロが語ったのが上記の言葉です。
私たちはどうしたら「たじろがない」信仰に生きることができるのでしょうか。それは、主イエス・キリストの霊的な臨在の恵みを魂のうちに経験することによってです。割礼を受けているなどと自分を誇るのでなく、一人の貧しい罪人として、まさにこの世の様々のことに囚われがちな信仰の乏しい人間として、「信じます。信仰のないわたしをお助けください」(マルコ9章24節)と叫んだあの父親のように、神の御前に自らの罪(不信仰)を心から言い表すのです。その時、神は、深い憐れみのうちに主キリストのご臨在の恵みを聖霊の働きの中で私たちの魂の内に与えてくださるのです。キリストのこの霊的な臨在の恵みこそ、私たちの信仰の唯一の拠り所です。この恵みを経験する時、私たちは「たじろがない」信仰に生きることができるのです。
そのために日々新しく悔い改めつつ神の御前に立ち帰るのです。これが「一つの霊によってしっかり立つ」福音信仰の戦いです。この信仰の戦いをパウロはフィリピ教会の人たちに求め、励ましているのです。
牧師 柏木英雄