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教会だより

「神の羊の群れを牧しなさい」ペトロの手紙(一)5章1-4節(4/30説教) 

 1~2節に「わたしは~キリストの受難の証人として~あなたがたのうちの長老たちに勧めます。あなたがたにゆだねられている、神の羊の群れを牧しなさい」とあります。ペトロこそ「キリストの受難の証人」でした。何より十字架にかかる主イエスを「そんな人は知らない」と三度否定した(キリストの受難に反対した)人間でした。このペトロにとって、主イエスのご復活はむしろ「恐ろしいもの」だったのではないでしょうか。なぜなら、ペトロは三度主を否定することによって全く主の弟子にふさわしくない者になり、復活の主に合わせる顔がないと思ったからです。しかし、復活の主はペトロを咎めるどころか、弟子たちとの食事の席でペトロに三度「わたしを愛するか」と尋ね、三度「わたしの羊を養いなさい」と言われたのです。この時ペトロは、主イエスが自分の三度の否みを踏まえながら、しかしそのことには触れないで語っておられることを悟り、改めて深い主の愛と赦しを知ることができたのです。

 復活の主が三度「わたしを愛するか」と問われ、三度「わたしの羊を養なさい」と言われたのは、「主を愛する」ことなしに「主の羊を養う」ことは不可能だからです。主を愛するとは、主イエスを求め、主イエスによって新しく生かされることです。主イエスによって新しくされ、肉の思いが清められることによって初めて主イエスの羊を養うことができるのです。なぜなら、主の羊を養うとは、主イエスを信じる信仰者たちに復活の主が本当に生きて働いておられることを証しすることだからです。牧者自らが主によって新しく生かされていなければ、羊たちに生ける主を証しすることは不可能だからです。

 ペトロは「キリストの受難の証人」としてそのことを深く学んだのです。その立場から「神の羊の群れを牧しなさい」と語っているのです。

牧師 柏木英雄