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教会だより

「すべて真実なこと」フィリピの信徒への手紙4章8-9節(7/24説教) 

 パウロは8節で「終わりに、兄弟たち、すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて名誉なことを、また、徳や称賛に値することがあれば、それを心に留めなさい」と言っています。なぜパウロは信仰についての議論の最後にこのようなことを言ったのでしょうか。それは3章7節以下で「わたしにとって有利であったこれらのことを、キリストのゆえに損失と見なすようになった」「そればかりか、わたしの主キリスト・イエスを知ることのあまりのすばらしさに、今では他の一切を損失とみています。キリストのゆえに、わたしはすべてを失いましたが、それらを塵あくたと見なしています」と語ったからです。

 このパウロの言葉だけを聞けば、それではこの世の生活は軽んじていいという誤った理解を与えることになりかねないからです。パウロはそのことを恐れ、信仰の議論の最後に8節のことをつけ加えたのです。

 「すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて名誉なこと、徳や称賛に値すること」とは必ずしも特別なことではありません。平凡な日常生活を含めて人間のこの世の営みにおけるすべての「良きもの」について、それらのことを心に留め大切にしながら生きていきなさい、と言うのです。この世のどんな「良きもの」も罪の汚れから免れているものはありません。それでも主の赦しと助けの中でこの世の「良きもの」を大切にしながら生きるのです。そのような生き方の中にこそ、主の十字架と復活、聖霊によるご臨在の恵みに生きる信仰者のこの世における真に充実した生活がある、とパウロは言っているのです。

牧師 柏木英雄