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教会だより

「宿屋には泊まる場所がなかった」(クリスマス) ルカによる福音書2章1-7節(12/19説教) 

 御子イエスは一人の人間の赤ちゃんとしてこの世にお生まれになりました。御子イエスは、まだ救い主らしい働きをする前から、赤ちゃんのままで神の御子、救い主なのです。なぜなら、このお方は赤ちゃんのままで「神共にいます方」、インマヌエルそのもののお方(マタイ1章23節)だからです。そうであれば、マリアとヨセフは、この赤ちゃんイエスを救い主として心の中に受け入れた時から、すでに神の救いの中に生かされていたのです。

 主イエスの誕生はローマ皇帝による住民登録というこの世の現実のただ中で実現されました。この住民登録のためにマリアとヨセフはガリラヤのナザレからユダの町ベツレヘムへと旅立ち、ベツレヘムで御子イエスを産むことになったのです。しかしそれによって、メシアがユダの町ベツレヘムで生まれるという旧約聖書の預言が成就されたことを考える時、神はローマ皇帝による住民登録をもご自身の御業のために用いられたことが分かるのです。

 とはいえ、マリアとヨセフの置かれた現実は厳しく、二人は大海の小舟のようにこの世の現実の中で翻弄されたのです。その二人を支えたのがマリアの胎の中にある幼子イエスの命でした。二人はこの命によって常に「神共にいます」(インマヌエル)霊的な励ましを与えられ、信仰に支えられつつ、無事ベツレヘムの馬小屋で御子イエスを誕生させることができたのです。御子イエスの誕生は貧しい馬小屋においてでしたが、二人は、あらゆる困難を乗り越えて御子イエスの誕生の実現へと至らせてくださった神の導きを覚え、あふれるばかりの感謝と喜びに満たされたのです。クリスマスは、御子イエスの誕生の時であると同時に、マリアとヨセフにおける信仰の勝利の証しの時でもあったのです。

牧師 柏木英雄